歌には間に合った。

嬉しそうな微笑をキリエは向けてきた。


ネロはほっとした―




暫くして退屈な"祈り"が始まった。



ネロは席を立った。

「ネロ?」

どうしたの と声を掛けてくるキリエに、

帰る と言うと祈りの静寂の中、扉に向かって歩き出した。




・・・急に右手が疼き始めた。


「・・・っ」


手を握り締め、何かの気配を感じて咄嗟に頭上を見上げた。




バーッン という豪快な音と共に空から紅い何かが降ってきた。

ネロと同じ銀髪の男だった。


ダンッと教皇の壇上に着地すると教皇に銃を向け―


放った・・・

「キャァァ!」


叫び声は木霊し、人々は祈りを止めて逃げ惑った。

混乱の最中、ネロは必死にキリエを逃がそうと手を引いた。






「Holiness!」

倒れた教皇に駆け寄るクレドに紅い男は近づく。


「Credo!」

キリエはネロの手を振り切って兄・クレドの元へと走り出す。



「Kyrie!」

ネロは右手を握り締めたまま、キリエを護ろうと紅い男に向かっていった―











 †  †  † 「 ・・・」 「・・・」 と呼ばれる女性は浮かない顔をしつつも真っ直ぐとアグナスを見つめる。 「私は貴女を信じていましたよ 必ず戻ってくると」 アグナスは眼鏡をくいっと上げた。 「私の・・・か、可愛い 」 指を震えさせながら近づいてくる。 「ここにまた戻ってきたという事は―・・・」 ハァッという吐息がアグナスから漏れる。 耐えかねは腰に帯びた剣をバシッとアグナスに投げつけた。 「覚悟は決まった」 は団服のボタンを外す。 完璧に武装されたその肢体から鎧を剥ぐ 首から胸へ・・・一つずつ 「アグナス・・・私は教団騎士だ」 ―I'm not your rat... 「a, aaaaa I know!」 動悸が高鳴り、興奮を抑えられないアグナス 「この街を 人々を・・・守護する者」 ―I'm not your rat... アグナスのハァ ハァという息が気味悪く 思わず鳥肌が立つ 「私は お前の・・・お前達の為のモノではないからッ」 「aaaI know! I know!!」 アグナスの手が肌に触れる ガクッと首を擡(もた)げ 足元を見つめる― 脱ぎ捨てた団服は真っ白だった。 そっと目を閉じた。 涙はもう 流さない I won't be your rat... 運命の輪が廻り始めた