空には月がかかっていた。


丸い、美しい月。



その月の下に 大きな城が建っている。



フォルトゥナ城だ。









ネロは紅いマントの男を追って ようやくここまで辿りついた。



サクサクと雪の中を歩き続ける。


ハァと溜息をつくと白い息がスゥ―と消えていった。







城の鉄橋を渡る。

すると、バリィィンッというガラスの割れる音と共に城の中から何かが飛び出してきた。


チャキッと銃を構え、狙いを定めるが何か様子がおかしい。


Devilと一緒に人間が降って来たのだ。

しかもそれらは絡み合って―



「han?」

片眉を上げて見つめるネロの目の前で、その人間はDevilを下敷きにして着地した。



しなやかな腰つき 剥き出しになった胸と太腿は官能的で

小麦色の肌に汚れは一つとして無い



続々と現れる敵を前に慄く様子は無い。



艶かしく戦う姿はある意味激しく

時々漏れる喘ぎ声の様な発声はDevilをも魅了するのか




あっという間に 眼前には二十ものDevil共の残骸が残されていた。



「見ない顔だな」

ネロがそう話しかけると 女は 新入りなの と返した。


「私はグロリア」

ウィンクを飛ばし 握手を求めて手を差し出してくる。


ネロがそれを無視するとグロリアと呼ばれる女はネロの顔を覗き込んだ。


「貴方がネロね 噂は聞いているわ」

「どうせ悪い噂だろ」




ネロを誘惑するような口ぶり 仕草をしてくるグロリア

ネロをじろじろと眺め回したかと思うとその場にしゃがみ込んで

足を広げて短剣を太腿の裏にしまいこんだ。


ネロはさっと顔を背ける。





ネロの反応を楽しんでいるようだった。





グロリアは満足そうに目を細め、私は別任務なの と尾のように伸びた裾を翻し

ネロが来た道を歩いて去っていった。










(グロリア・・・?)


ネロは出発前にクレドに聞いた事を思い出した。






「ネロ くれぐれも気をつけろよ」 「分かってる」 「それから―」 顎に手をあてて思案するクレドにネロは早くしろよと催促した。 何か、躊躇うようであったがクレドは口を開いた。 「途中もし""という女性に遇ったら、私の元へ・・・フォルトゥナへ戻るよう伝えてくれ」 いつに無く不安そうな声音をしていたのでネロはとても気になっていた。
か」 振り返ってグロリアという女性の姿を探す。 しかし、もう見当たらなかった。 違うな と心で呟き、ネロは城の中へと入っていった。