「お留守番」





次の島に停泊するかどうかについて揉めたが

やはり必要な物資が多いとの事で、立ち寄る事を決めた。


「ただし!ルフィは今時の人だから船でお留守番よ?」ナミ

「ッエー!!」ルフィ

「チョッパーも残ってちょうだい」ナミ

「分かったぞ!」チョッパー


皆がぞろぞろと船を降りようと準備をする横で、ルフィは行きたいと騒いだ。

「俺も新しい島冒険したいぞナミー!!」

「うるっさい!自業自得でしょ!!」



着いた島では、人が住んでいるような町の港を避け

鬱葱と木々の生い茂るジャングルの入江に停泊させた。


ギャーギャーと声を鳴らして飛び立つ鳥は異様な姿で

獰猛さを伺わせる牙を持つ。


「何だかヤバそうな生き物いそうだなー」ウソップ

「こちらを伺ってる動物たちは多いみたい。海賊女帝さんを守ってあげないと」ロビン

そう、ルフィを見やれば、ルフィは暫く黙った後

「そういう事なら仕方ねーな」

と腕を組んで納得した。


(((・・・・素直だ)))


皆、ルフィとチョッパーを残し、町へと発った。





  +   +   +





医務室で眠るハンコックと看病を続けるチョッパー。

ルフィは退屈そうに船から外を眺めていた。

「ハァ、つまらねーなー、冒険してーなー」

ドサッと甲板に大の字で寝転がれば、綺麗な青空が広がる。


そっと目を閉じ、エース奪還の戦況を思い返した。


周りに群れる敵をなぎ倒し、エースを救おうと必死な自分の体は傷つき

しかし、そんな事はちっとも気にならない。

エースを救う為なら命を惜しむ事は無かった。

今、自分の体を見れば、傷は癒え痕もない。

回復している。

そこで、ふとハンコックの言葉が思い出された。

『この手を離せそうにない』

傷つき、苦しげに見つめるその瞳に、ルフィは吸いこまれそうな気分になった。

自らの手を取り、その手に力が込められて―

「どういう意味なんだ?」

ルフィは言葉の意味を理解できずにいたが

しかしはっきりとした事もあった。

それはハンコックを守りたい、ということ。

最初は嫌な奴だったけど、途中から話を分かってくれて

ルフィがエースを救えたのは、紛れもなくハンコックのおかげだ。

ルフィは真剣な面持ちで思い返しては

ハンコックの姿を浮かばせるのだった。


何故ハンコックに対して守りたいと思うのか。

そんな理由はルフィには気にならない。

ただ、守りたいという思いだけで行動していた。



暫くそんな事を考えていると、慌てた様子でチョッパーが甲板に出て来た。

「ルフィ!」

「なんだ?チョッパー」

「俺、大事な薬頼むの忘れてて、だから今から皆を追ってくる!!」

「なら俺が行くぞ!」

外に出れる、と目を輝かせるルフィにチョッパーは不安を覚えた。

「・・・(ルフィに薬頼んでも名前忘れそう・・・)、いや、お、オレが行くよ!!」

「そうか?ま、いいや。気ぃつけてな!」



チョッパーは、ハンコックが目覚めたらこの薬を飲ませるように

と小さな瓶を手渡し、急いで船を下りて行った。


遠ざかるチョッパーを見送り、ルフィは医務室へ入った。



ノックも無しにガチャ、とドアを開けると

そこには目を覚ましたハンコックの姿があった。

「ル、ルフィ!!」

驚くハンコックを尻目に、ルフィはその姿を見つつ言葉を発した。

「おう、起きたか。チョッパーが目覚めたらこの薬飲めって・・・」

「ちょ、待つのじゃルフィ!」

「なんだ?どうした?」

ハンコックは顔を赤らめ、毛布をぎゅっと抱きしめたまま慌てている。

「な、何故わらわは裸なのじゃ!!」

「?あー、たぶんチョッパーが手当てしやすいように脱がしたんじゃねーか?寒いのか?」

ルフィは肩を震わすハンコックを認めて、服を探し出した。

「っ・・・(またしてもルフィはわらわの裸にメロメロにならぬ!?)」

ルフィはハンコックの服を探すが、見当たらない。

仕方なしに自分の替えの赤いタンクトップを差し出した。

「おめーのどこにあるか分かんねーから俺の貸してやるよ、・・・ん?どうした?」

ハンコックは目に涙を浮かべ、一層強く毛布を握りしめてルフィを見つめていた。

「・・・ルフィ、わらわは、わらわは・・・」

「俺のじゃまだ寒いか」

「そうではない、」

「じゃあ・・・」

ハンコックの言葉など聞かずに、ルフィは再び医務室の中をゴソゴソとあさり出した。

「わらわは・・・」

情けない、と目を伏せ涙を流すと

「これでどうだ!」

ふわっと肩に掛けられたもう一枚の毛布。

ルフィは両肩に手を置き、ハンコックにニシシと笑顔を向けた。

ハンコックは顔を上げ、ルフィを見つめた。

その笑顔を見た瞬間、悲しい気持ちはスッと消えて行った。

そっと、肩に置かれた手に自らの手を重ねると、呟いた。

「温かい・・・」

俯き、静かに微笑んだ。

「・・・・・そうか!」

ハンコックの言葉を聞いたルフィは、ひらめいたように顔を明らめ

「こうすりゃ温っかけーんだ」

と、毛布の上からハンコックに抱きついた。

「っ!!ル、ルフィ!!」

「俺の体温のが温ったけーだろ」

邪な思いの無い、ルフィの抱擁にハンコックは戸惑いながらも

その胸の内から温かになる感覚を味わう。

「ルフィ・・・温かい、ぞ」

「ニシシ、よかった!」






ドアの前に鼻血を流したチョッパーが倒れているのを見つけるのは

まだ少し後の話。















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原作のルフィからして、恋愛に聡い船長はどうも書けず・・・

どうしても子供鈍感なルフィ×清純派海賊女帝になってしまいます。

こんなカップルも、いいと思います。