「ドラギュラ伯爵」



ルフィとハンコックは急いで町を目指した。

とはいえ、町への道順が分からない二人はあっちへ行ったりこっちへ戻ったり。

そうする内に、日は刻々と沈んで行く。


ようやく町への立て札と道を見つけた時には夕日が沈む直前だった。

「日が沈んでしまう」

太陽を見やるハンコックに、ルフィは行こうと促して町へと急いだ。



着いた先は、町と言うにはどこか寂しいところだった。

日没後とは言え、町を歩く人の姿は見当たらない。

酒場や店などは全て閉まり、家の灯火がうっすらと漏れるばかりだ。


「なんだか元気ねぇとこだな」

ルフィは辺りをザッと見渡し、サンジやゾロ達を探した。

「そなたの仲間はどこにおる?」

「ちょっと聞いてみよう」


ルフィは近くの家のドアを叩いた。

「すいませーん、男いっぱいと女少し見かけませんでしたかー」

「ル、ルフィ・・・なんじゃその尋ね方は・・・」

ルフィの声に返事はない。

家から零れる光は、確かにそこに人がいる事を告げている。

「すいまっせーん、誰かいませんかー?」

ハンコックはぐるりと辺りを見渡し、町の奥に佇む一件の大きな屋敷に注目した。

「ルフィ、あの家を訪ねてはどうじゃ」

「ん?お、でけぇー家だな」

ルフィはそちらへ気を向けた。

「あっこなら誰か出てきてくれっかな」




「すいませーん」

ルフィは大きな屋敷の門を叩いた。

「俺の仲間いませんかー?」

しん、と静まり返った空気。

「おーい、誰かー、ゾロー、ロビーン、どこ行ったんだ?」

大声で、どこへとも知れず呼びかけると、ギィ、と音を立てて門が開いた。

「お♪やっぱり人いるんじゃねーか」

中から顔を出す、使用人らしき人は訝しげにルフィとハンコックを見やった後、

ようやく全身を露わにした。

「・・・仲間、と仰っておりましたかな?」

「おう、俺の仲間がこの町目指してったっきり帰ってこねーんだ、しらねーか?」

「・・・仲間とは、女二人に男3人、・・・ガイコツ一人ですかな?」

「おお!それだそれ!!」

ルフィはニシシと笑顔を溢して仲間に会わせてくれと頼んだ。

すると使用人は急に申し訳なさそうに頭を垂れた。

「そう、でしたか・・・あなたのお仲間でしたか・・・」

「おう、この屋敷にいんのか?」

「それが・・・」

言いにくそうに言葉を濁す使用人は、ともかく中へと二人を促した。



二人は二階へと通された。

廊下に面した沢山のドアがある。

「皆、ここに泊っておるのか?」

「いえ・・・それが―」

使用人は一つの部屋を開けると、中へと進んだ。

二人も後に続くと、そこにはベッドに横たわるゾロの姿があった。

「ゾロー!お前ら何してんだ、チョッパー待ってるぞ!」

ルフィは掛け寄る。

「ゾロ?」

しかしゾロは目を覚まさない。

「おいゾロ、起きろよゾロー」

「・・・その方は、もう起きる事はありません・・・」

「何?」

ハンコックは睨むように使用人を見やる。

「あなたのお仲間は、伯爵によって永遠に眠らされてしまったのです」

使用人の言葉に驚愕する二人。

そこへ、この屋敷の主と思しき男が部屋へと入って来た。

「あなた方が、この者達のお仲間ですか?」

「おう!俺の仲間だ!何でみんな眠っちまってるんだ、他の皆もこうなのか!?」

「・・・はい、男は皆、眠らされました。」

「ナミとロビンは!?」

「攫われました・・・伯爵に―」

「!!」

「詳しく話を聞かせよ」


主は、重々しく声を低く唸らせ、語り出した。


「・・・この島は、ある一人の伯爵によって治められています。

伯爵は不老不死の力を持ち、強力な魔術を秘めています。

伯爵は絶大な力を奮って町の人々を脅かし、そして若く美しい娘を攫います。

その者達がどうなったかは、分かりません。

ただ、美しい女は皆攫われて行き、それに歯向かえば伯爵の魔術によって

永遠に眠らされてしまうのです」

「ゾロとサンジは!」

「この方達は、お二人の美しい女性を攫いに来た伯爵と戦おうとしました。

しかし、相手を傷つける間もなく眠らされてしまい、女性お二人も抗いましたが

眠らされて連れ去られてしまいました。」

「!こいつらを起こす方法は!?」

「・・・一つだけあります、ほぼ、不可能ではありますが・・・」

「なんだ!」

「伯爵の城内にある、夜に咲く赤い花の匂いを嗅がせれば目覚める、のだそうですが・・・

伯爵は神出鬼没、空を飛んで現れます。庭に入り込めば気付かれ、攫われるか眠らされるかです。」

「面倒じゃのう」

「よしわかった!」

ルフィは威勢よく立ちあがる。

「そいつの城は何処だ?」

「!!まさか、伯爵の城へ行かれるおつもりで?」

「おう、あたりめーだ!仲間救うにはそれしかないんだろ?」

「しかし、行っても眠らされるだけ、歯が立ちませんよ」

「行ってみねーと分からねえ、それに、何もしないでいても何にもならねからな!」

「うむ、わらわもついてゆくぞ」

「・・・」

心配そうに見つめる主だったが、やがて席を立ち、背後の戸棚をあさり出した。

「これがお役に立てればいいのですが・・・」

「なんだソレ?」

「にんにくです、これを持っていれば、眠りにくくなると言われていますが・・・

あまり長くは持ちません。回避できて、一回でしょう。」

「おう!ありがとな!」

ルフィはにんにくを受け取った。

「もっと沢山はないのか?」

「伯爵はにんにくが弱点の為、取れないようにしてしまったのです。

この島ではとても貴重な物。我が屋敷でも一つしかありません。」



ルフィとハンコックは早速、夜咲くという赤い花を求めて城へと向かう事にした。


「お仲間の事は私にお任せを」

「おう、よろしく頼むな!」



主に教わった通りの道を進む二人。

「ルフィ、そなた矢についた紙の事を覚えておるか?」

「んあ?あー何だっけ?」

「紙には、“伯爵城へ参れ”と書かれていた。

おそらく、伯爵というのはわらわ達の事を知っておるやも知れぬ」

「ハンコック、おめー、攫われねーようにしねーとな」

「な、に?」

「伯爵は女を攫っちまうんだろ?ハンコックを狙ってるかもしれねー」

「!!(ルフィ・・・わらわの事を心配して)」

「そしたら俺はお前を守るからな!」

「はうぅ!(ルフィの笑顔がわらわを溶かす・・・!)」



はぁん、という気の抜けた声を出し膝を折るハンコックに

ルフィはどうした!と掛け寄って支えた。


「わらわは攫われはせぬ、わらわは・・・そなたの傍に・・・」

「おう、当たりめーだ」

「ルフィ・・・///(わらわ、幸せじゃ・・・)」





・・・二人、道中色々ありながらも伯爵城を目指す―。











――――――――――――――――――――――――――――――



ゼーハー。

ル蛇小説長い・・・

ゼーハー(何で短編にしなかったんだろ;

こんなでも楽しんで頂けたらララ子は幸せです!